証券コラム

2015/12/18 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

FOMC通過による「アク抜け」度は?

今週の国内株市場は、FOMC(12月15日~16日)の前後でムードがガラリと変わる印象となっています。FOMC後となった17日(木)の取引は大きく上昇し、日経平均は19,500円台をうかがう水準でのスタートとなりましたが、FOMC前となる14日(月)~15日(火)の取引では、日経平均が18,500円台まで急落していた場面がありましたから、まさに、「イベント通過によるアク抜け」を地で行く展開と言えます。

あらためて今回のFOMCの状況について整理してみたいと思います。まず、FRBは約9年半ぶりの利上げを決定しました(利上げ幅は0.25%)。利上げ自体は事前予想の通りでしたし、足元の市場の注目は利上げのペースとなっていました。

今回のFOMCでは、FOMCメンバーが今後の金利水準をどう予測しているかの分布を示す「ドットチャート」も公表され、予測の中央値は、2016年末時点で1.375%、2017年末で2.375%、18年末で3.250%となっていました。前回(9月開催)公表はそれぞれ、1.375%、2.625%、3.375%でしたので、16年末の予想は据え置き、17年末と18年末が引き下げられたことになります。

また、FOMC後の記者会見では、イエレンFRB議長が、「米国経済は小幅な利上げが実施できる状況にあること」と同時に、「金利の緩やかな上昇しか正当化しないような状況を想定している」と緩やかな引き締めスタンス(ハト派姿勢)を強調しました。

2016年のFOMCは全部で8回の会合が予定され、うち、FRB議長の記者会見があるのは3月、6月、9月、12月です。先ほどのドットチャートの予測通りにFRBが行動すれば、2016年は1%利上げとなります。1回の利上げ幅を0.25%とすれば年4回で、記者会見が行われる会合のタイミングでの実施の可能性が高いことになります。

つまり、FOMC開催の2回に1回は利上げすることになり、問題はこの想定される利上げペースを市場がこの先どう受け止めていくかです。FOMC前の予想では年2回の利上げペースという見方もありましたが、FOMCの結果を受けた株価や為替の動きが示す通り、初期反応は概ね良好と言えます。

とはいえ、イエレン議長のハト派的な発言をはじめ、米経済もまだ不透明感が残っている現状から、「実際には、ドットチャートから読み取れる利上げのペースにはならないのではないか?」という楽観的な見通しを先取りしているも可能性もありそうです。今後発表される米経済指標が強いほど、利上げが意識されるため、市場の反応には注意が必要かもしれません。

また、FOMCにおける投票権は、議長や副議長、理事をはじめ、5名の地区連銀総裁が有します。米国には12地区連銀がありますが、常任のNY連銀総裁以外の4人のメンバーは1年ごとの順番制で担当します。

当然ながら2016年もメンバーが入れ替わりますが、メンバー入りが予定されている4名のうち、3名(セントルイス地区連銀のブラード総裁、カンザスシティ地区連銀のジョージ総裁、クリーブランド地区連銀のメスター総裁)が利上げに積極的なタカ派と言われています。そのため、利上げのペースという観点からは、今回のFOMCで一気にアク抜けたとは言い切れないかもしれません。

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