証券コラム

2016/03/18 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

「金融政策イベント」トリオが終了

今週の国内株市場ですが、日経平均は概ね17,000円台での推移が続いています。今週で欧州のECB理事会、国内の日銀会合、米国FOMCと、「金融政策イベント」トリオを通過したわけですが、公表された政策の内容ついては、ECB理事会が予想を上回る金融緩和を決定した一方、日銀会合とFOMCが想定通り大きな動きはありませんでした。ただ、株式市場の反応としては3月17日の取引に見られるように、米FOMCを好感するような動きになっています。

FOMC後に公表されたFRBメンバーの金利見通し、いわゆる「ドットチャート」と呼ばれるものが、今後の利上げに対して、これまでの年4回から2回と緩和的になりました。為替市場では日米の金利差拡大予想が萎み、米ドル/円で円高となりましたが、それよりも米国や新興国経済の減速リスクが後退すると受け止められたことによるリスクオンが株式市場の買い安心感につながった模様です。

プチサプライズとなったECB理事会では、政策発表直後の欧州株市場は上昇で反応しました。具体的な政策内容ですが、月間の資産購入額の増額(600億ユーロから800億ユーロ)、中銀預金の下限金利の引き下げ(マイナス0.3%からマイナス0.4%)など予想通りのものに加え、リファイナンス金利と、貸出上限金利を引き下げたほか、資産購入の対象を、ユーロ圏内の企業が発行する投資適格級債券まで拡大するなど、昨年12月 の反省(緩和内容が物足りず、市場がネガティブに反応)もあってか、プラスαを盛ってきた印象です。

ところが、ECB理事会後のドラギ総裁の記者会見で、「一段の金利引き下げが必要とは思わない」という発言が飛び出すと、追加緩和好感ムードを一転させてしまい、結果的にサプライズがあまり効を奏しない格好となりました。サプライズ効果が長続きしないのは、前回の日銀会合でマイナス金利を導入した時と少し似ています。

もっとも、マイナス金利に対して、ドラギECB総裁は一段の引き下げに後ろ向きな姿勢を示したことがきっかけでしたが、国内では黒田総裁が一段のマイナス金利の拡大について言及することで銀行株が売られるなどの違いはありますが、金融緩和に依存と期待しがちな市場にとっては、両者とも漠然とマイナス金利導入による金融政策の限界が意識されているように見えます。金融緩和政策の限界によるリスクオフ警戒と、マイナス金利による実体経済への効果が不透明であることへの不安の表れと言えます。

そもそも、金利を引き下げても資金需要が高まらなかったことで、「異次元」の量的緩和を導入してきた経緯があるため、さらなる金利の引き下げによって経済活動が活発化していくイメージが描きにくいのは自然と言えます。黒田日銀総裁は「マイナス金利導入でイールドカーブ全体が下がっている」と強調しています。確かに、約260兆円の日銀当座預金残高のうちの10兆円程度にマイナス金利を適用しただけで、金利全体が引き下げることに成功したのはねらい通りかもしれません。では、具体的に実体経済にどのような効果が波及するのか。日欧の金融政策当局はマイナス金利効果の具体的な波及経路を説明していくことが求められているように思えます。

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