証券コラム

2016/06/17 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

MSCI採用が見送られた中国A株から見える中国の課題と不安

今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の16,000円台を下回る場面が目立つなど、軟調な展開になっています。来週に控える英国のEU離脱を問う国民投票に対して警戒ムードが意識されている印象です。

ここに来て離脱シナリオが浮上し、これまでのメインシナリオだった「残留ありき」を修正している可能性があります。であれば、足元の相場は英国のEU残留・離脱の双方を織り込み始めたと考えることができ、イベント通過によって、意外と相場が持ち直すという展開もあるかもしれません。

英国以外にも、原油価格や米国の利上げ動向など、何かと外部要因に振り回されやすい相場地合いが続いていますが、最近は中国発の材料が減っています。実際に中国株市場の動きを見ても、上海総合指数がここ数カ月間、2,800ポイント~3,000ポイントのレンジでもみ合い続いています。とは言っても、昨年夏のチャイナ・ショックの記憶もまだ新しく、いざ問題となった場合には、影響も大きくなりそうなため、足元の状況はチェックしておく必要はありそうです。ちなみに、今週は16日(木)に上海ディズニーランドがオープンします。

また、「MSCIグローバル新興国株指数」に中国本土株式(人民元建てのA株)の採用が見送られたという報道が15日(水)にありました。MSCIグローバル新興国株指数は約20カ国の新興国株式で構成されているのですが、中国A株が新興国株指数に採用されれば、インデックスファンドなど、同指数を運用指標とする海外の機関投資家から中国A株買いの資金が流入する期待が高まることになります。もっとも、香港市場に上場しているH株やレッドチップ、本土市場のB株(外貨建て)はすでにこの指数に組み込まれていますので、今回のポイントは、人民元が国際通貨として認められるかどうかだった側面もあります。

今回は採用が見送られる結果になりましたが、指数を算出しているMSCIの見解からは「確かに改善は進んでいるが、海外投資家による中国市場へのアクセスにまだ課題がある」という判断のようです。中国金融当局に対して、投資環境の整備などのさらなる改革を求めている格好ですが、実はこのMSCIグローバル新興国株指数採用に絡む話題は、2013年から3年連続で、「浮上しては採用されず」というのを繰り返しています。

つまり、改革のペースはあまりスピーディではないことが窺えるのですが、今年10月には、昨年末に決定したIMFのSDR(特別引き出し権)の構成通貨に人民元が組み入れられる予定になっていますので、改革ペースのピッチが上がることも考えられます。そのため、MSCIグローバル新興国株指数への採用そのものは、そう遠くない未来に実現する可能性があります。ただし、改革の進展は、中国当局による「微妙なコントロール」を放棄することも意味しています。例えば、金融システムを国際基準に適合させることを通じて、新たな不良債権や債務残高の問題が浮上することも想定されます。

昨年のチャイナ・ショックは8月に人民元が切り下げられたことをきっかけにスタートしましたが、上海総合指数がピークをつけて下落に転じたのはそれよりも前の6月でした。ちょうど、昨年のMSCIグローバル新興国株指数への採用が見送られたタイミングだったこともあり、警戒しておく必要はありそうです。

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