証券コラム

2016/08/05 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

日銀会合で決定したETF買い増額

先週末、固唾を呑んで迎えた注目イベントである日銀金融政策決定会合が通過しました。週末金曜日の午後に公表された決定内容は、(1)ETF買い入れ額の増額(年間3.3兆円から6兆円)と、(2)企業の海外展開を支援するためのドル資金を供給する総枠の拡大(120億ドルから240億ドル)というものでした。

一部で期待されていた、マイナス金利幅の深堀りや国債買い入れ拡大などはなく、その他の政策についてもほぼ現状維持のままです。結果的に市場の予想よりも小粒な内容で、サプライズもなかったわけですが、会合の決定内容を受けた株式市場の初期反応は、多少の乱高下を見せながらも大崩れにはならず、むしろ、その日の日経平均は前日比で93円の上昇で終えています。会合前には、「中途半端な政策内容だと、材料出尽くしや失望で株価が急落する可能性も」という指摘があっただけに、いざ蓋を開けてみたら意外にも堅調だった印象です。週を跨いだ月曜日(8月1日)の日経平均終値も前日比66円高となっています。

こうした堅調の背景には、ETF買いそのものは需給面で株式市場のサポートになることや、銀行や保険など金融機関の収益にネガティブな影響を与えるマイナス金利幅の拡大が見送られたことで見直し買いが入ったこと、政府の経済政策との協調感をアピールしたこと(会合の結果前に政府が約28兆円規模の経済政策方針を打ち出し、日銀の声明文にも「緩和的な金融環境を整えて、政府の取り組みと相乗的な効果を発揮」という文言が入っています)、次回の会合(9月20日~21日)で金融政策の総括的な検証を行う旨を発表し、次回の追加金融緩和への思惑が残ったことなどが挙げられます。

とはいえ、株式市場が堅調な一方で、為替市場(米ドル/円)では円高が進行しています。こちらは、会合の結果が小粒にとどまったことで、円売りに対する警戒が後退した格好と言えます。つまり、会合による市場の初期反応は「株高・円高」です。これまで、会合の結果が市場で好感された場合は「株高・円安」でしたので、今回はいつもと様子が違うことには注意が必要かもしれません。その後の日経平均は下方向に舵を切っています。

そもそも、今回の日銀会合での決定は「これ以上の追加量的緩和もマイナス金利幅の拡大も限界論や批判が高まる中で、比較的実行しやすいETF買いを選択した苦肉の策」という見方もあります。とはいえ、すでに日銀のETF保有は市場占有率の6割に達していますし、多くの銘柄で日銀が実質的な大株主上位に入っています。需給の偏りや株価形成に対する信頼、信用性に欠ける市場での取引が敬遠されて、取引参加者が減少するなど、今後のETF買い増しによる悪影響を指摘する声が高まることも考えられます。

実際に、8月2日(火)と3日(水)の両日で、会合後はじめて日銀がETFを購入しましたが、それぞれ347億円でした。とりわけ、3日(水)については、ETF買い入れ増額の認可を財務相と金融庁長官から取得したと発表した後だっただけに、買い入れ額がいくらに増えるのか注目されましたが、規模的にはこれまでとあまり変わらない水準でした。様子を見ながら新たな買い入れがスタートしたようです。

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