証券コラム

2016/10/14 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

中国の国営企業改革の切り札「DES」

先週末の国内株市場は3連休でしたが、中国株市場も国慶節の長い連休明けで今週の取引を迎えました。そんな連休明け早々の10月10日に、中国政府(国務院)が、「市場化した銀行債権の株式化に関する指導意見」というのを発表しました。簡単に言ってしまうと、中国企業が抱える債務の株式化を推進して行こうというものです。

中国企業の債務問題は中国リスクのひとつになっています。「債務の株式化(DES、デット・エクイティ・スワップ)」とは、企業の債務(借金)を株式化して、債権者である銀行に譲渡することです。企業側にとっては、債務の返済負担が軽くなるほか、株式化により自己資本も増えることになります。また、銀行側にとっても、融資が返済されない可能性のある不良債権が処理され、株主として経営を監視しやすくなります。そして、企業が息を吹き返すことができれば、株価上昇や配当の恩恵にもあずかれます。

実は、債務の株式化は中国株市場において、たびたび話題に上っているテーマです。直近では、今年の春先に見られた上海総合指数の上昇を演出した材料のひとつになっていました。

今回の発表では、債務株式化の対象となる企業の分類が挙げられました。(1)景気減速によって一時的な経営難に陥っている企業、(2)成長性はあるのに債務負担が足枷になっている企業、そして、(3)過剰生産能力を有する業界上位企業、です。もちろん、「ゾンビ企業」は対象外です。せっかく債務を軽減しても、企業が稼ぐことができなければ、株式の価値は高まりませんし、企業の経営効率が進まないと、再び債務が増えてしまいかねません。その意味では、今回の発表は意味があるものと言えます。

問題は、債務株式化の対象企業を見極めるプロセスがきちんとなされるかです。特に(3)については、国有企業の統合が進んでいる最中でもあり、ゾンビ企業が寄り集まって業界上位となって、債務株式化の対象になってしまう可能性も考えられます。国慶節前には、中国の国有鉄鋼大手企業2社が統合するという発表があった一方で、今週には、国有特殊鋼大手が経営破綻と報じられ、今のところ、報道ベースではバランスをとっているような印象ではあります。

2016年の中国企業の社債デフォルト(債務不履行)は、前年の2倍を上回るペースで増えていると言われており、国有企業改革にかけることのできる時間はあまり残されていません。「どの企業を残し、どの企業を淘汰するのか」の選択はこれから本格化することになります。

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