証券コラム

2016/12/02 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

「トランプノミクス」はメキシコを襲うハリケーンか?

月を跨ぎ、週末にかけて多くのイベントを控えている今週の国内株市場ですが、ひとまず減産合意がなされたOPEC総会を受けて12月1日(木)の日経平均は一段高で取引がスタートし、節目の18,500円台を回復してきました。これまでのところ、2016年の日経平均高値は1月4日の大発会で、終値ベースでは18,450円、ザラ場ベースでは18,951円です。終値ベースではすでに年初の水準を取り戻している格好です。

もっとも、足元の急ピッチな株価上昇に対する警戒感も燻っています。週末の米雇用統計(2日)やイタリアの憲法改正を巡る国民投票(4日)の見極め、来週末のメジャーSQ(9日)、再来週の米FOMC(13日~14日)が要注目のイベントとなります。

また、相場の牽引役の中心となっているのは、「トランプラリー」という言葉にもある通り、トランプ

次期政権の政策(トランプノミクス)への思惑と期待です。当初は減税やインフラ投資などの大型財政支出方針が注目され、最近は政権の陣容を固める人事が明らかになるにつれ、金融機関への規制緩和への期待も高まっている格好です。財務長官に内定したムニューチン氏は米大手証券の出身であるほか、商務省長官への起用が固まったとされるロス氏も著名投資家であるため、次期政権が「ウォール街にフレンドリーになるのでは?」という期待も頷けます。

その一方で、トランプノミクスには、期待通りに「実現して欲しい政策」だけでなく、保護貿易主義や移民政策などの「実現されては困る政策」も混在しています。実際のトランプ次期政権の政策運営がどのようになるのかはまだまだ不透明な部分が多く、米国とのつながりが強い新興国経済にとっては、マイナスの影響が濃くなる可能性があります。

とりわけ、警戒されているのはメキシコです。トランプ氏の勝利を受け、メキシコは通貨・株式債券が揃って下落するトリプル安に見舞われ、メキシコ中銀は米大統領選挙直後の11月17日に利上げを決定しています。

選挙期間中にトランプ氏が言及してきた具体的な政策は、「北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し」や、「メキシコに移転した企業からの輸入品に35%課税」といった内容です。さらに、不法移民の強制送還をはじめ、メキシコ国境の壁建設なども主張してきました。

メキシコはNAFTAによって貿易規模を拡大し、その経済的恩恵をフルに受けた国です。安い労働力と低い関税障壁によって、米国企業や海外企業が米国向けの製品(自動車や電子機器)や部品を製造するための工場を作り、米国に輸出するという構図です。また、米国内の不法移民の約半分がメキシコ系と言われています。

とはいえ、米国自身への影響もあります。強硬な通商政策のダメージを受けるのはメキシコ国内に工場を持つ米企業です。また、米国の労働力人口における不法移民は5%以上を占めているため、不法移民を排除する政策は労働者不足とコスト増を招き、トランプ氏が推進しようとするインフラ投資の足を引っ張る可能性もあります。

そんな中、米空調大手メーカーによるメキシコへの生産移転の予定が白紙となった旨の報道が今週発表されました。「トランプ氏の政策」ハリケーンがどのような勢力となってメキシコに接近するのか、注意深く見ていく必要がありそうです。

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