証券コラム

2018/03/16 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

侮れなくなってきた「奔放」なトランプリスク

今週の国内株市場ですが、これまでのところ、日経平均上値の重たさへの意識が感じられる値動きが続いています。経済指標などをはじめ、足元の国内外の景況感は引続き好調を維持しており、今週13日(火)には、OECD(経済協力開発機構)が世界経済の見通しを発表し、2018年の経済成長率を上方修正しています。

その一方で、株価の上昇を抑えているのが政治面です。米国ではトランプ大統領の保護主義的な経済スタンスへの警戒をはじめ、国内でも学校法人への国有地売却をめぐる問題が再燃するなど、不透明感が漂いつつあります。14日(水)の東証1部の売買代金が2兆2,537億円と今年4番目の少なさだったこともあり、市場はひとまず様子をうかがっているのかもしれません。

しばらくは政治動向が相場の足を引っ張る展開が見込まれそうですが、その中でも特に注意が必要なのは米国です。鉄鋼とアルミニウムへの追加関税方針を突如打ち出したかと思えば、北朝鮮との首脳会談をほぼ独断で決め、さらにティラーソン国務長官を解任するなど、最近になって、トランプ大統領の「奔放さ」が目立ってきました。

もっとも、「トランプ氏はビジネスマンであり、交渉のために最初は高いハードルをぶち上げて、徐々に折り合いをつけていくことになるからあまり心配は要らない」という見方もあります。鉄鋼やアルミニウムの追加関税の件についても、鉄鋼産業で有名なペンシルバニア州で実施される下院議員の補欠選挙を意識してのものと思われています。とはいえ、米国では秋に中間選挙が控えていて、今後も支持者へのアピールのために一層の保護主義的な経済スタンスに傾く可能性があります。

人員基盤についても、先ほどのティラーソン氏に加え、追加関税に反対したゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任を表明など、良識的とされ、トランプ大統領のブレーキ役を担ってきた人物が次々と政権を離脱しているのも気掛かりです。例えば、コーン氏が去った後に経済政策面で残っている人物(ナバロ氏やロス氏)は保守的な対中国強硬派で知られています。実際、中国による知的財産権侵害への制裁として、電気製品や通信機器などの中国製品に最大600億ドルの追加関税を検討する方針を今週になって打ち出しています。進展によっては、中国からの報復など貿易戦争の色を帯び始めてきます。

また、北朝鮮との首脳会談についても、対話路線による戦争回避の可能性を残した点では評価されますが、協調派だったティラーソン氏に代わる後任の国務長官は強硬派とされるポンペオ氏であり、事前交渉で折り合いがつくのか未知数です。さらに、人員不足による実務面での準備不足も心配されます。そして、「奔放」なトランプ氏に振り回されている印象が強い状況のままでは、交渉相手として信頼が置けず、北朝鮮側からの譲歩の妨げになりかねない可能性もあります。

トランプリスクは侮れないところまで来てしまっているのかもしれません。

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