証券コラム

2018/04/27 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

再び上昇し始めた米長期金利への懸念は杞憂か?

本格的な決算シーズン入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は22,000円台をキープしながらジリ高の展開が続いていて、これまでのところ堅調と言えます。

もっとも、週末にかけて注目企業の決算待ちの状況であることや、日銀の金融政策決定会合、大型連休が控えていることもあって、買いの勢いに弾みがつくのはあとちょっと時間が掛かるのかもしれませんが、それでも米国株が冴えない動きが続いている中で国内株市場が値を保ってきたことは、相場の地合いの良さが感じられます。

とはいえ、その冴えない米国株の背景にあるのは、米国の長期金利が再び上昇し始めたことです。今週になって米10年債の利回りは約4年ぶりに3%台に乗せてきました。日米の金利差が拡大するとの見方から、為替市場でドル高・円安となったことが国内株市場の追い風になっている格好です。

その一方で、今年の1月下旬、国内外の株式市場がそれまでの上昇基調から下落基調に転じたのは、米国の長期金利が上昇し、「適温相場」の継続がゆらいだことがきっかけになったことを踏まえれば、注意も怠ってはいけない状況であるとも言えます。実際に、米国株市場はこの金利上昇が警戒されている印象です。

本来、米国経済の好調による景気拡大で、カネやモノの需要が増えることに伴って金利が上昇していくのであれば、あまり心配されることはありません。一般的に、長期金利は経済の見通しが良ければ上昇する傾向があります。過去を振り返ると、前回、米10年債利回りが3%をつけていた2014年は、ちょうどFRBが量的緩和の縮小を開始した時期です。金融政策の出口戦略に踏み切れるほど、経済の見通し判断が楽観的だったと言えます。

ただし、足元の長期金利上昇は、必ずしも米国経済の好調さだけを反映したものではなく、直近で上昇している原油価格などを受けた物価上昇見通しの高まりをはじめ、トランプ米大統領の経済政策(減税と財政出動)による資金調達のための米国債の大量発行による需給や財政の悪化、関税引き上げといった保護主義的な政策の影響など、いわゆる「悪い金利上昇」になってしまいかねない要素を抱えていることが警戒につながっています。

悪い金利上昇となれば、米国市場がトリプル安(株安・債券安・通貨安)となり、世界経済への悪影響は避けられなくなりますが、今のところ、金利上昇によって通貨高(ドル高)となっています。また、安全資産とされる米国債の利回りが上昇したことで、投資妙味が高まり、新興国などのリスク債券から米国債への資金シフトの動きも出ていると考えられます。現時点ではさほど心配する必要はないと思われますが、経済指標などで米国の景気減速が意識され始めると、ガラリとムードが変わる可能性がありそうなことは頭の片隅に置いておく方が良いかもしれません。

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