証券コラム

2018/06/07 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

息を吹き返しつつ株式市場に潜む死角

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均強含みの展開が続いています。上昇が目立っている米国株市場に引っ張られている格好ですが、その米国株はNASDAQが市場最高値を更新し、NYダウも25,000ドル台乗せまで回復するなどの力強さを見せています。6月7日(木)の日経平均も22,750円の水準で取引をスタートさせています。

元々、今週は週末に先物・オプション取引の精算日であるメジャーSQが控えていて、日経平均の株価水準の目安として、比較的取引量の多いオプション取引権利行使価格250円刻みが意識されやすい相場地合いでした。具体的には、強気なら22,500円や22,750円、23,000円、反対に弱気なら22,250円、22,000円21,750円が目安になるのですが、結果として強気に傾いている状況です。いずれにしても、このまま昨年の大納会終値(22,764円)を上回ることができれば、昨年末比でプラスとなります。

足元の米国株上昇は、先週末発表の米雇用統計をきっかけにして米国経済の堅調さが確認されたことや、イタリアやスペインなど欧州政治情勢への警戒感が後退したことなどが背景にあります。さらに、今週に入ってからは、米国の保護主義的な姿勢が緩和するのではとの観測も高まっています。息を吹き返しつつあるような足元の相場環境を受けて、米国では一足早いサマーラリーを指摘する声も上がり始めていますが、少し慎重に見た方が良いのかもしれません。

まずは米雇用統計についての評価ですが、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る結果(22.3万人)となりました。直近の米株市場では、強い経済指標が出ると、FRBの利上げペースが加速するのではという懸念が高まって株価が弱含む場面があったのですが、今回の雇用統計では、平均時給の結果が伸び悩んだことで、「今年の利上げは3回で済む(4回に加速しない)」という見方が強まったようです。

その結果として、米株市場では、適度に金利が上昇して金融株が上昇する一方で、金利上昇が重石となるIT・ハイテク企業銘柄も買われています。つまり、都合の良い「利上げ観測」の解釈で株価が上昇している面があります。

また、米国の保護主義的な通商政策についても、とりわけ対中国を中心に警戒モードは続きそうです。確かに、最近になって中国側からの譲歩(年700億ドル規模の輸入・購入拡大)を引き出し、懸案の中国企業ZTEへの制裁解除など、事態は改善へと向かってはいますが、米中間が抱えている摩擦は、貿易不均衡だけでなく、先進技術面での覇権争いや、安全保障面の争いの要素もあるため、お互いの溝が埋まるまでにまだ時間が掛かると思われます。

もっとも、現在のNYダウの株価水準は、年初来高値(26,616ドル)までまだ距離があるため、戻りを試す局面である間はさほど心配はないのかもしれません。また、国内株市場では、足元でNT倍率(日経平均÷TOPIX)が上昇傾向にあり、TOPIXに比べて日経平均が先行していることを示しています。恐らくメジャーSQを控えてのことだと思われますが、イベント通過後の動きには注意が必要かもしれません。さらに来週は米FOMCも予定されているため、株式市場には思わぬ死角が潜んでいる点は認識しておいた方が良いかもしれません。

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