証券コラム

2018/06/21 マーケットコメント「土信田雅之の相場の視点」

繰り返し、相場のムードに水を差す米国の通商政策

米朝首脳会談をはじめ、日・米・欧の金融政策決定会合など「イベント祭り」だった先週を無難に乗り越えて迎えた今週の国内株市場ですが、軟調な展開が目立っています。

相場のスケジュール感としては、先週で注目のマクロ材料が一巡し、今週からは国内でIPO新規公開)ラッシュとなります。今週19日(火)に上場したメルカリが号砲となり、月末までに11銘柄IPOが続きます。そして、7月に入ってからは決算シーズンを控えて企業業績への意識が高まってくるといった具合に、手掛かりは決して少なくはないのですが、今週の株価の下げ材料になっているのが米国の保護主義的な通商政策です。とりわけ、米中のやりとりが熱を帯び始めています。

そもそも、米国の通商政策への警戒感は突如として降って湧いたわけではなく、3月あたまに、トランプ米大統領が「輸入される鉄鋼やアルミニウムに対して追加関税を課す」と表明したのがはじまりです。以降は株価の上昇を抑える材料として燻り続け、相場の上昇ムードに繰り返し水を差してきたのですが、今週19日(火)に見せた日経平均の下落(前日比で400円安)のように、上値抑制から次第に下げ材料として認識されつつある点には注意が必要かもしれません。

確かに、これまでは通商をめぐる攻撃的なトランプ大統領の発言に対して、一時的に警戒されることはあっても、その裏ではどこかで「あくまで通商交渉の過程でのパフォーマンスだから、いずれどこかで折り合いをつけるだろう」という楽観的な見方が大勢を占めていたように思えます。

実際に、先週末15日に米国は対中制裁関税25%の対象リスト(500億ドル分)を公表し、対する中国もすかさず「同じ規模、同じ強さの追加関税措置を出す」と応じました。もちろん、相場にとってネガティブな材料ではあったものの、当初は株価の下げが加速する事態にはなりませんでした。制裁が発動する7月6日までにはまだ日数があり、それまでに交渉によって制裁の発動を回避できるだろうという見方があったためと思われます。

ただし、今週はじめの18日に、トランプ大統領が2,000億ドル分を対象に10%の追加関税を課すことを検討すると指示したことによって、事態が好ましくない方向に進んでいる観測が強まり、これまでの楽観的な見方が揺らぎはじめた印象です。そして今週の国内外の株式市場は、先ほども触れた日経平均の大幅下落や、米NYダウの7日続落(20日時点)となったほか、中国の上海総合指数も節目の3,000ポイントを下回る展開を見せています。

特に、上海総合指数3,000ポイントは、いわゆる「チャイナショック」時に、当局が防衛ラインとして意識した水準ですので、思っている以上にインパクトがあると言えます。それを受けてか、中国国営メディアが株式市場の先行きに対して自信を示す記事を相次いで掲載したり、上場企業30社以上が主要株主による株式購入警告を発表したりと、株価の維持をねらった動きを見せています。一部では経済刺激策も検討しているのではとの見方もあるようです。

これが功を奏し、中国株市場の下落が一服し、それが日本株反発のきっかけにもなったわけですが、米中の通商摩擦は単なる貿易不均衡だけでなく、外資系企業の中国でのビジネス環境の不整備や安全保障、ハイテク・IT分野での覇権争いなどが背景にあります。そのため、両者の溝を埋めるには時間がかかることになりますが、実体経済や企業業績に影響を与えるまでに実現できるかどうかが焦点となり、「時間との勝負」になってきたと言えそうです。

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