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2016/05/13 発見!有望銘柄のヒント

建物の「耐震基準」は地域によって違う

自分が卒業した小学校の前を通ると校舎が当時のままで「懐かしいな」と思うと同時に「ということは築40年を超えるんだな」と驚いてしまいます。といっても校舎全体が当時のままなのではなく、斜めに交差した鉄骨がいたるところに見えます。そう、「耐震補強工事」を施しているからです。

これらの工事がいつ頃から行われ始めたのかは地域によって違うと思われますが、文部科学省のホームページでは2006年にそれまでの学校施設の耐震工事についての資料がまとめられています。その中の記述によると

「多くの耐震改修は一部の地域を除いて1995年兵庫県南部地震あるいは97年の耐震改修促進法以降に実施されている」

とあるので、多くの地域では1995年の阪神淡路大震災のあとで実施されている模様。さらにそのあとは

「したがって近年の地震被害では耐震補強の有効性が検証された例はまだ極めて少ないが、2003年宮城県沖地震、2004年新潟中越地震などでは、耐震補強後の建物が一定レベルの強震動を受けながらも軽微な被害にとどまった例がみられた」

と続けられており、その後で耐震改修を実施した地域でこのページの資料を参考にしたケースは多いのかもしれません。

しかし、「耐震化率100%」だったはずの熊本では今回の地震で小中学校の破損が相次ぎました。

「耐震化」とはどこまでのことを言う?

ここでいう「耐震化」とは「震度6~7規模の地震でも倒壊または崩壊する危険性が低い」とされる強度を満たすこと。この基準でいくと熊本県にある公立の小・中学校の耐震化率は「ほぼ100%」だそうです。

国土交通省は今回の震度7の地震でも「ヒビ割れなどはみられたものの、倒壊や崩壊はしていません」として耐震基準に問題はなかったという立場をとっています。しかし学校は地域の避難所として使われるため、壁や床に亀裂が入ったなど「破損」の状態でも被災者の方には不安が残ってしまいます。

その耐震基準についてひとつ問題点が浮上しています。それは「地域によるバラつき」です。

耐震基準の目安を決める数値として「地震地域係数」というものがあります。これは「大きな建物などを新築する際に『構造計算』の安全性をチェックするための数値は地域で起こる地震の頻度などを考慮」するということ。つまり平たく言えば

「過去に地震が少なかった地域は耐震基準を『甘く』する」

のです。「震度6強~7の揺れに耐えられる数値」を「1.0」とすると、首都圏の地震地域係数は「1.0」で基準ちょうど。過去に地震が多かった静岡県は「1.2」という厳しい基準を設けているそうです。

しかし今回大きな被害のあった熊本市や阿蘇市、下益城郡は過去に地震が少なかったため地震地域係数が「0.9」、八代市や宇土市などは「0.8」だったそうです。これらの地域でどの程度まで耐震化が進んでいたのかは不明ですが、多くの建物が倒壊していたショッキングな映像と関連付けて考えずにはいられません。

ということは日本全国で耐震基準そのものの見直しが必要なのではないでしょうか。適切なデータをはじき出すにも耐震補強工事を推進するにも企業が果たすべき役割は計り知れません。すぐにでも取りかかるべき大仕事ですね。

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