証券コラム

2016/12/16 発見!有望銘柄のヒント

配偶者控除の見直しとその影響

2017年度税制改正で焦点となっている「配偶者控除の見直し」。全容が明らかになりつつあるので、それが企業に与える影響、企業の戦力である労働者に与える影響を考えてみましょう。

例えば、夫に主たる収入があり妻がパートタイマーだった場合、夫が配偶者控除を受けられるかどうかは妻の年収が基準になります。その年収上限が、現在の103万円から150万円に引き上げられることで最終調整に入っており、早ければ2018年1月から実施されることになります。

スーパーなどのパートタイマーとして働く奥さんが「年収103万円を超えないように働き方を調整する」というのはよくある話。この年収上限が150万円まで引き上げられたら奥さんは「年収150万円まで働ける」わけです。それでも旦那さんはこれまでどおり配偶者控除が受けられるので「夫婦の手取り」は増えるはずです。

「配偶者手当」問題

しかし、ひょっとしたら「夫の給料が減るのでは」という問題も浮上しています。大企業などで見られる「配偶者手当」が減るかも知れないからです。

配偶者手当の支給条件は会社によってまちまちですが「配偶者が税法上の扶養家族であること」「配偶者が社会保険上の扶養家族であること」などがほとんど。

つまり「収入がないか、あるいは一定以下であること」が条件となっているのです。会社は年末調整時などに社員の配偶者が扶養に該当するかどうかを把握できるので、手続き上の手間を考えてもその条件を採用するのが適していると言えるでしょう。

ただし「社員の奥さんの収入が増える」というのならそれは別の話。奥さんは現行の見直し案が通った場合に年収150万円になっても「税法上の扶養家族」ですが、夫の会社としては奥さんの収入が増える社員にこれまでどおり配偶者手当てを支給し続けるわけにはいかないでしょう。実際に今回の見直し案をにらんでか、配偶者手当を廃止し、こどもの人数に応じた「家族手当」に切り替える企業も出ています。

いきなりゼロにはならない

また、見直し後の配偶者控除は奥さんの年収が150万円を超えたらいきなりゼロになるのではなく、年収201万円までは「段階的に控除がある」という案になっています。これは現行でいう「配偶者特別控除」(奥さんの年収が103万円を超えても141万円までは段階的に控除がある)の額を引き上げたものと考えて良さそうです。

さらに見直し案では「夫の年収」にも制限が設けられました。奥さんの年収が150万円以下だった場合に配偶者控除を満額受けられるのは「夫の年収が1,120万円以下」の場合。ただしそれを超えても「年収1,220万円まで」は段階的に控除を受けられるそうです。これは現行の配偶者控除が「金持ち優遇だ」という声に配慮したものでしょう。

これで働き方は変わるのか

以前にもお伝えしたように、一定の基準に該当する企業は従業員の社会保険加入基準が年収130万円から106万円に引き下げられました。

それに対して「税法上の夫の扶養に入れるかどうか」且つ「自分に所得税がかかるかどうか」は年収103万円から150万円に引き上げ。所得税と社会保険の「壁の手前」で働いている人々はこの二つの壁をどう考えるでしょうか。

特に女性が思い切り働くには保育・学童保育などの子育て支援、障害者や高齢者の介護支援などがちゃんと整備されることが必須条件。優秀な人材を思い切り活用できないのは企業にとっても大きな損失です。「仕事」も「家族との時間」も輝けるような世の中の実現こそ、有望銘柄誕生のための大きな課題ですよね。

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